HPC-ProFS DPvTL1000 テープオートローダ

HPC-ProFS DPvTL1000 テープオートローダは、1Uのラックマウントサイズに、9個のカートリッジを搭載した LTO-9 対応のテープオートローダーです。1スロットにクリーニングメディアを搭載するため、最大で8台の LTO9テープメディアを利用することが可能です。12G SASで接続して利用されるため、本機器の利用にあたっては、別途サーバーが必要になることにご注意ください。

テープメディアを利用することのメリット・デメリット

  • 大容量・低コスト: テープは大容量のデータを格納でき、ハードディスクやクラウドサービスと比較して総コストが低く抑えられます。
  • 長期保存に最適: テープは適切に保管されていれば長期間データを保存できます。
  • 省電力: テープはデータを一度記録すれば、保存の際に電力を消費する必要がないため、運用中の電力コストを抑えることができます。
  • 移動性・保管性: テープは携行性に優れており、保管中も電源が不要なため、ランニングコストも低く抑えられます。
  • セキュリティ: テープは物理的に取り扱うため、ウイルス感染のリスクが低く、データのセキュリティ性が高いとされています。

ただし、テープバックアップはランダムアクセスが難しく、特定のファイルだけを戻したい場合でも、検索のためにテープの読み込みが必要となり、リストアに時間がかかるというデメリットもあります。そのため、頻繁にリストア作業が必要になるデータのバックアップには向いていません。しかし、リストア頻度が低いデータや、長期保存が必要なデータのバックアップなどで利用に向いています。

LTO-9とは

LTO-9は、最新世代のデータ保存用磁気テープの規格で、大容量のデータを効率良くアーカイブし、安全に保管・管理できる最先端技術です。以下に、LTO-9の主な特徴は以下の通りです。

  • LTO-9は、1巻あたり最大18TB(2.5:1 圧縮時は45TB)の容量を持ちます。
  • ハードウェアベースの暗号化による多層セキュリティサポート、WORM(追記型)機能、LTFS(リニアテープファイルシステム)のサポートなどの機能が含まれており、下位世代LTO-8の読み書き完全互換となっています。
  • LTO-9は、最大1,000MB/秒(非圧縮時400MB/秒)の高速データ転送を実現し、より大容量なデータを高速で書き込み可能です。
  • LTOテープカートリッジの磁気テープは、室温環境保管。20年後でもその品質にほとんど劣化がないことを検証されています。

一部の記述は、一般社団法人 電子情報技術産業協会 テープストレージ専門委員会 『サイバーセキュリティを支えるテープストレージソリューション』https://home.jeita.or.jp/standardization/file/CEATEC_2022_Online.pdf を参考にさせて頂きました。

DPvTL1000 テープオートローダーの仕組み

HPC-ProFS DPvTL1000は、メディアを格納可能なカートリッジを9個備えます。ドライブのクリーニングのために、クリーニングメディアで1スロット占有するため、記憶テープメディアを格納するためカートリッジとしては8個となります。

下図は、本機器のマネージメントポートからのWeb GUIで表示されるテープメディアの搭載状況です。Colum1から4にテープメディア、Column5にクリーニングメディアと空きスペースが確保されていることが分かります。尚、下図のテープメディアに相当する箇所に「00001L9」などのIDが表記されていますが、これはテープメディアに貼り付けられたバーコードで決定されます。これらのバーコードによるメディアの識別ができないと、オートローダーは利用できませんので、本機器の購入にあたっては、テープメディアの他にバーコードシールの一式を加えて頂くことになります。

 

バックアップ & リストアを管理するミドルウェア Quest NetVault

テープメディアを利用したバックアップやリストアに関して、様々な課題があります。

  • 複数のテープメディアを利用したバックアップ
  • 複数のテープメディアのいずれかに保存された個別ファイルの検索及びリストア
  • 定期的な差分バックアップ、フルバックアップの運用自動化
  • データベースのバックアップ

テープメディアを利用したバックアップ・リストアに関する多くの課題については、テープ管理を行うためのソフトウェアで解決することが可能です。当社では、Quest社の提供するNetVaultの利用を推奨しており、機器の導入時にソフトウェア及びライセンスの導入支援を行わせて頂くことが可能です。

HPC-ProFS DPvTL1000 仕様

場所の要件

ラック要件 標準 EIA 19 インチ・ラック
給電部
  • AC 電源電圧: 100 から 240 VAC
  • 回線周波数: 50 から 60 Hz
  • ライブラリーは AC コンセントの近くに配置します。
  • AC 電源コードには必ず容易にアクセスできる必要があります。
外気条件
  • 微粒子汚染の原因物質ができるだけ少ない区域にライブラリーを配置します。
  • ほこりや屑などが多いと、テープや磁気テープ・ドライブが損傷する可能性があります。
  • ひんぱんに使用される出入口、開いている窓、ファン、エアコン、コピー室、またほこりがたまりやすい備品室、プリンター室、および喫煙室の近くの領域を避けてください。
  • ライブラリーの隣に用紙を保管しないでください。
  • 高トラフィック領域から、特に、床にカーペットが敷かれている場合は、ライブラリーを遠ざけてください。 カーペットにはほこりがたまりやすく、カーペットの上を歩くことで、カーペットの繊維やたまったほこりが空気中を浮遊することになります。
  • 機械のカバーを閉じて、浮遊粒子の汚染を最小限に抑えます。
室温 16 – 32 °C (60 – 90 °F)
クリアランス
  • 後部: 最小 15 cm
  • 前部: 最小 30 cm
  • 側面: 最小 5 cm

物理仕様

フロント・パネル幅 (シャーシ/ベゼル) 445 mm (17.52 インチ )/483 mm (19.02 インチ)
高さ 44 mm (1.73 インチ)
奥行き 850 mm (33.46 インチ)
重量(ライブラリーのみ) 13 kg (28.66 ポンド)

電気仕様

電流 4.0 – 1.5 A
電圧 100 – 240 V
周波数 50 – 60 Hz